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■柱3:目的別のチーム編制プログラム


  1. 目次
  2. ■グループワークは個人と組織の自律を促進する
    1. ■グループワークの三大目的
    2. ■グループワークの「6・I」効果
    3. ■グループワークは強制せずに人を育てる
    4. ■就業外サークル活動との違い
    5. ■従来の人材管理とグループワークとの違い
    6. ■20世紀型から21世紀型へ:チーム編成の転換例
    7. ■グループワークを組織文化として定着させるために

 

■グループワークは個人と組織の自律を促進する

物事がうまくいく/いかないを決めるのは、意外にも「何をやるか」ではなく「誰と一緒にやるか」だったりします。しかし、あるプロジェクトチームを編成する場合、どうしてもテーマや課題(何をやるか)がまず決まっていて、それに適した人材は誰か、という発想になるのが常です。これが通常のプロジェクトチームを編成するときの考え方ですが、この発想を完全に逆転させるのが「グループワーク」です。つまり、「誰と誰を組ませれば、物事がうまくいくか」を真っ先に考える、ということです。

 

■グループワークの三大目的

○組織の構成員に目的意識や役割意識をもたせ、連帯感や相互扶助の精神を養う。

○グループ内の団結とともに、グループ間の自然な交流を促すことにより、組織への貢献度を無理なく拡大させる。

〇現行の体制には手を加えず、タテ方向の成長だけでなくヨコ方向への展開を促し、「ピラミッド型組織」から「ネットワーク型組織」へ、自然な移行を可能にする。

 

■グループワークの「6・I」効果

○インディペンデンス効果:個人の自律度の向上および独立精神の育成。

○インタラクション効果:相乗効果による職場の活性化(特定のブランチやセクションが孤立するのを防ぐ)および職場への人員定着率の向上

○インフォメーション効果:個人の潜在能力や人事考課に関する情報発信およびタテ方向からヨコ方向への情報経路の変換

○インテグレーション効果:複数のグループを統合することによる連帯感や相互扶助の段階的拡大

○インキュベーション効果:企業内起業家精神の萌芽およびまったく新しい事業課題への発展

○イノベーション効果:新しいビジネスチャンスの拡大(外から与えられた課題ではなく、構成員自らが創出した課題に取り組むため、可能性のあるものを新規事業として採用した場合の成功率は高い)

 

■グループワークは強制せずに人を育てる

グループワークは、一人一人の個性を重んじ、参加者が集団活動の中で自然に自律へと促され、行動へと活性化される「仕組み」をご提供するものであり、特定の業務(タスク)に関するプロジェクトチームの編成とはまったく異なる視点から、集団活動の「枠組み」をご提案するものです。

仕事に対する一人一人のモチベーションを高め、職場を活気あるものにするためには、個人個人が自律的である(自分の責任ある判断で自主的に行動する)必要があります。

ところが、「自律しろ」という具合に強制したり、ルールや制度で自律性を押しつけたりすると、とたんに自律とは正反対の統制的な職場となってしまいます。一人一人の自律性を高めることの難しさはそこにあります。

さて、そこで重要なことは、統制的にならずにいかに個人個人が自律できるように促すかということです。そのためにはまず、「人は強制せずとも、本来的に自律へと向かう性向がある」という認識を持つことが大切です。

「しかし、放っておいたら、人はますます無責任でわがままで怠惰になるのでは?」と思うかもしれません。統制されている人間であればあるほど、確かにそういう傾向があります。しかし、そういう人間でさえ、本来は自律へ向かう強い欲求を持っているのです。

それでは、放っておけばいいかというと、そうではありません。人が自然に自律へと向かえるよう、お膳立てしてやることが重要です。人は「育てる」のではなく、「育つ」のです。したがって大切なことは、人を育てようとするのでなく、人が育つのを(少なくとも)邪魔しないということです。ところが、実際には「教育」という名目で自律性を阻害する指導が行われているのが現状です。

グループワークは、統制的にならずに個人の自律と人間的成長を促し、潜在能力を開発し、組織への貢献度を高める効果をもたらします。

このグループワークの導入により、やがて管理職の役割は監視や指導ではなく、観察と支援になっていくでしょう。

 

■就業外サークル活動との違い

就業外のスポーツや文化活動のサークルとグループワークは、以下のような点が異なります。

○種目やテーマが先にあって、それを愛好する人間がその活動に参加するという形態ではなく、人がまず集まり、そこから自然に発生するテーマを追求するということ。

〇同じ趣味や興味の者同士のグループではないため、いわゆる「仲良し〇〇組」といった関係性にはならず、むしろ「特定のタスクに向けて共同作業したい」という成り行きに自然になってゆく。

〇性格もキャラクターも得意分野もそれぞれ違う者同士でチームを組むため、リーダー不要で、上下関係が発生せず、相互理解、相互尊重、相互信頼の精神が自然に醸成される。

○技術や能力を磨くのではなく、「人」が成長することに主眼があるということ。

○グループの分け方に、心理学的理論に裏付けられた明確な意図があるということ。

〇心理学的な意図はあるものの、本人の適性や役割に関し、Pra★storの運営サイドに「あなたの適性はこれです」という正解があるわけではなく、グループワークによって、本人が自然に自分の適性に目覚め、強化していくことができる。

○複数のグループ同士が交流することにより、プロジェクトが拡大し進化するということ。

※従来の人材管理とPra★storのグループワークの運営方針との違いについて、例をまじえながら解説しましょう。こちらをクリックしてください。

 

■従来の人材管理とグループワークとの違い

従来の人材管理の考え方では、たとえば「新製品の流通・販売」といった業務課題が発生した場合、営業トークがうまく、モノを売ることに長けた人材ばかりを投入すれば、そのプロジェクトがうまくいくはずだと考えます。

ところが実際には、それらの人材がすべて自分の潜在能力を出し切るわけではなく、活躍する人間とそうでない人間に分かれたり、また、全員が同じ業務に就くことによる競争原理が働いて、落ちこぼれる人間も出てきたりします。

その結果、職場は高ストレス状態となり、沈滞ムードから業績もじょじょに下降線をたどるといった悪循環が生まれます。

最悪の場合、人材配置の見直しを余儀なくされ、それが高じると、部門の見直しなど組織体制そのものの地盤も揺らぎ、大がかりな再編成を迫られる可能性も出てきます。ところが、いくら組織体制を変えても、そこで演じられるシナリオが変わらない限り、相変わらず同じドラマが展開することになります。これは、人材活用の方法として極めてもったいないやり方であるばかりか、経営面でも大きなリスクを伴うものです。

一方、グループワークの場合、従来のような「課題志向」ではなく「人材志向」という考え方であり、たとえば「ボケ」と「ツッコミ」がいて初めて漫才が成立するように、ひとつの業務課題に取り組むにも、異なる持ち味を持ち、異なる役割を担った人材をまんべんなく投入する方が効果的である、という考え方に立脚しています。そして、どのようなスタイルとテーマを持つ「漫才コンビ」になるかは、コンビの相性がよければ、放っておいても、自然に生まれてくる、ということです。

Pra★storでは、最低でも次のような4つの役割を想定しています。これらの役割のどれが欠けても、ひとつのプロジェクトは成功しません。

○アイデア創出・企画立案役
○人・物・情報のコーディネート役
○実務レベルでの具体化・実践役
○諸情報の整理・分析・評価役

このような人材配置では、それぞれがまったく異なる役割でプロジェクトに貢献できるため、競争意識ではなく協調意識と他者尊重の精神が芽生え、自分本来の持ち味が活性化され、潜在能力が無駄なく発揮されることとなります。

これらの役割は、外側から個人に押しつけるのではなく、あくまで本人の自己認識をもとに決定します。また、仮にうまくいかずに人員交代の必要性が発生しても、全員が同じ役割でプロジェクトに参加する場合と比べ、その交代が業績の低下に直接結びつかないという利点があります。

また業績評価も、同じ役割の他者との比較ではなく、役割ごとに個別に行えるため、既存の人事考課制度に手を加える必要がなく、そのまま適用できます。さらに言えば、グループワークによってグループ内のメンバー同士の信頼感はどんどん増し、課題に対する意欲も増していくため、その分、外側から見ても、チーム全体の評価が上がっていきます。そうなると、個人ごとの評価はあまり重要ではなくなり、むしろ管理サイドの関心は、チーム同士の「相性」というところに向かうはずです。つまり、うまくいっているどの「細胞」とどの「細胞」を結合させれば、さらなる「進化」が期待できるか、という興味に向かうはずです。その延長線上に、組織全体の大がかりなイノベーションが見えてきます。

つまり、グループワークの考え方は、舞台と役者はそのままで、配役と演じられる役柄を変えることにより、ドラマのシナリオとその結末を変えようとする試みなのです。

 

■20世紀型から21世紀型へ:チーム編成の転換例

たとえば、ある会社の営業部門を考えてみましょう。営業部長が一人いて、副部長(部長補佐)が1~2人いて、その他に事務方が数名、そして100人の営業マンを抱えているとします。月末や年度末には、営業成績の順位が発表され、トップセラーは表彰され、ボーナスアップされ、下位の者は部長から発破をかけられます。こういう体制だと、営業成績をめぐって100人の営業マン全員がライバル関係になり、社内競争が激化します。この体制は一見すると、営業成績をどんどん上げるように思えますが、実は月末・年度末には、一人の勝者と99人の敗者、そして100人分の疲労を作り出すだけです。ライバルとは社内にいるのではなく、本来は「競合他社」のはずです。これが20世紀型の経営でした。

一方、たとえば営業マン10人に対して、世話役・支援役・相談役が一人ずつついているチームを10チーム作ったとします。普段はチームごとに活動し、チーム同士は特にライバル関係にあるわけではありません。むしろ、それぞれのチームに「カラー」といったものが出来上がり、チーム同士は、それぞれの「カラー」を認め合っているとします。そこで、あるチームに重大な案件が持ち上がったとき、複数のチームの合同プロジェクトとして対処することも可能になってきます。

こういう場合、互いにライバル同士の関係性では、嫉妬や足の引っ張り合いが生まれてしまったりします。

組織の経営体質を20世紀型から21世紀型に変換する難しさはそこにあります。

こうした経営体質の自然なイノベーションを誘発するのが、「グループワーク」です。

つまり、合同作業が必要になる実際のタスクが発生する前に、相性がよく、持ち味(役割)が被らないようなメンバーによるチームを作り、そのチームでの何らかの活動を始めておくことで、そのチームの「カラー」を醸成させておくのです。これによって、大きなプロジェクトが発生した場合、そのプロジェクトの性質に合わせた合同チームの編成が容易になってきます。

 

■グループワークを組織文化として定着させるために

グループワークの最終目的は、組織にイノベーションを起こすことです。この場合の「イノベーション」には、大きく分けて二通りあります。すなわち「体外的イノベーション」と「内部イノベーション」です。「体外的イノベーション」は、その組織が外側から見ても、明らかに以前とはまったく異なる「変容」を遂げた(たとえば新しい業種への参入とか、他社との経営統合など)とわかる変化であり、「内部イノベーション」とは、外側からはその変化ははっきりわからないものの、内部を覗いてみると、明らかに以前とは別の組織であるとわかるような変化です。そして、順番としては「内部イノベーション」が先にくるべきです。

そのためにも、グループワークの効果を最大限に広げ、組織の新しい文化として定着させる必要があります。

そのひとつの方法として、それぞれのグループワークチームごとの発表会やチーム同士の交流会などの機会を設ける、あるいは「グループワーク・データベース」のようなものを作り、誰でも閲覧できるようにする、などをお勧めします。

たとえば他のチームがどのような課題を掲げているかを知ることにより、共通あるいは関連する課題を持つチームがあったら、合同チームを結成することも可能になってきます。これは、同じ(ないし似たような)関心事を持ちながら、違う「持ち味」や「カラー」を持つチーム同士がコラボすることを意味するため、さらなる相乗効果が期待できます。

また、管理サイドにとっても、新しい案件が発生したときに、それに携わるプロジェクトチームをどのようなメンバーで構成するか、グループワークが大いに参考になります。

また、Pra★storの運営サイドから、グループワークのチーム編成とともに、どのチームを組ませたら(テーマが何であれ)うまくいくか、という合同チームのご提案も予めさせていただくこともできます。

このように無理なく自然にチームの統合が成されていけば、組織全体のチームワーク、連帯意識といったものが、強制や外圧によってではなく、自然発生的に芽生えるはずです。これによって、組織全体の体質(雰囲気)は、「苦労は半減、喜びは倍化」というかたちになっていくでしょう。


 
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